ハーベストガーデンふくやまの福山萌子さんにインタビューさせていただきました。
ONE HEALTH ケアガーデン ハルニレポッポ カフェの野菜を作ってくださっている、ハーベストガーデンふくやまの福山萌子さんにインタビューさせていただきました。
福山 萌子さん
NPO法人もりいく団 代表
(森林環境教育、食育活動、キャンプ場の運営)
福山農林合同会社 代表
(林業、農業)
すごく森と畑は繋がるところが多くて、私達夫婦は別々に活動はしているんですけど、
環境全体として捉えていくと、林業と農業はとても密接につながりあっていて
そのつながりをお互いの立場から考えていくことを大切にしています。
1.本事業を立ち上げられて経緯を教えてください。
元々“ハーベストガーデン福山”自体は、1989年に両親が立ち上げた農園です。
私は10年前にきっかけがあり戻ってきてから手伝うようになりました。最初は、鹿の肉を食べるのに、何かスパイスやハーブを自分で育てたいと思い、両親の農園の一角を借りてオレガノやミント植え始めて行きました。継ごうと思っていったわけじゃありませんでした。(笑)
10年前にシングルマザーになり看護師の資格を取ろうと思い、旭川大学看護学科への入学とともに旭川へは戻ってきたのですが、看護の国家試験と同年狩猟の資格もとり二足の草鞋で働くようになっていきました。農業に関しては明確な始まりはなく、ただハーブを作っているうちにレストランとかの取引が決まっていき、元々両親がやっていた有機野菜の話をしたら、季節の野菜もセットで送ってほしいという要望があり、気づいたら野菜も作るようになったりとか、さらに今度は取引先から、こういう野菜作れないかという相談をされるようになり、オーダーメイドで野菜の依頼まで受けるようになって行きました。両親が作っていた基礎野菜、ナスとかピーマンとは別の今まで育てていなかったもの育てていくようになっていき、気づいたら両親と一緒に農業をやっている感じになりました。
とはいえこうした選択ができるのも私は本当に恵まれていてその土壌があり、ゼロからじゃなかったですし、私は何かこれをやろうと志したわけでもなく、小学生のときからこの環境で育ってきたので、何となく新たなことをしているつもりもなくすっと入っていくことができました。「ああ、なんか、これは心地よいな」みたいな感じで。(笑)
5年かけてとった看護師の資格でしたが、狩猟もしながら看護師もして野菜も作って、イベント出店!みたな生活をしていたら流石にもう無理だなと限界を迎え、3年前に5年間続けた看護師を辞め今は夫の林業も支えながらバランスよく仕事をしています。
また二足三足の草鞋で看護師もやりながら、土日狩猟して月曜日また職場に戻るときは、何かちょっと現実離れをした2日間を過ごしていたから一気に人助けというふうに振るのが、なじまない感覚というがあり、結構大変だったことも覚えています。
2.以前の仕事に通ずる部分はありますか。
本当に看護師の経験は生きていて、というのも野菜を育てることも狩猟も“観察するということ”はつながっていて、これはどこのジャンルでもとても大切ですよね。病院を回りながら観察して、その患者さんの日々の変化に気づき、どう対処するかというところは、もう全部一緒だと思います。そしてどれだけ早期に対応するかの判断をしていく、あくまでその者が生きる力を信じ、こちらはサポートしていくこと。主役はこっちじゃないんですよね!
鹿の狩猟に関しても彼らの動きとか生態習性とかを熟知して、先回りして行動していくんです。自分が鹿だったらきっと今ここに行きたいだろうとかこういうものを食べたいだろうというのを想像し、その場に先に行くことがとてもポイントです。例えばこの時期は、豆を食べたいだろうと予測したりして、ただ闇雲に走り回るのではなく立ち回っていくことをします。
3.野生の命と向き合いながら、人間社会の科学としての医療現場、さらには林業と農業を実践されてきた福山さんにとってこれからどんな活動が必要であると考えていますか。
私は駆除という作業は共存させていくために必要な作業だと思っています。別々にさせたいわけではなくって、本当はお互いすみ分けながらちょうどいいバランスとっていくことができればいいのですが、なかなかそうもいかない現実があってそれに対してやっぱり増えすぎた個体数を調整していくこと、それも人間の勝手ではあるのですけどそのバランスの必要性を感じているからこそ手段として駆除を行っています。
また駆除するときは、首とか頭とか極力最小限のダメージで動物にとってもいつ打たれたかもわかんないうちパターンっといけるように心がけています。お互いが良い状態で循環させるための技術ですね。だから私は賛否両論あると思うんですけど、くくり罠とかは絶対使わないないですね。あれものすごい苦しむんですよ。でも駆除って言ったらそれもやらないといけない現実もあるのでそれを否定するわけではないんですけど動物の心とか、かつ肉質のこととか考えたら鉄砲で撃つことだけにしています。
私の活動は、こうして狩った鹿をただお金にして流通させていくのではなく、その後の利活用を考え実践することをとても大切にしています。そのため鹿肉は学校給食へ食材提供をし、さらに子供たちに向けて地域のことを知ってもらうように動いています。ここの地域の野菜を食べた鹿を狩り、それを私たちがいただくということを知ってもらい、考える機会を設ける。このことがものすごく有機的な取り組みなのかなと思っていて、命をいただくっていうところを、動物じゃなくてもそうなんですけど、稲も刈り取っていただくことも全て、それに対して子供たちがその事実知って感じていってもらうことが私の活動の意義であると思っています。
福山さんにお会いして、まさに私の掲げている“ONE HEALTH”そのものを活動を通して考えられている方だなと感動しました。
最後に福山さんにとって“命”をどのように捉え、日々生活されているかお伺いできますか
話が戻るのですが、森と畑はつながっているというお話をしたかと思うのですが、この畑もまさにそうなんですよね。隣に針葉樹の多い林があったのですが全く手入れが入ってなくて林のオーナーが林業者である夫と契約を結び管理するようになりました。倒れてくる木を除去して光を入れ針広混交林(針葉樹広葉樹が混じりあい適度に光が入っている林)へと整備して行きました。
だんだん広葉樹が増えていくことにより今まで来なかった鳥がすごく来るようになったんです。今まで聞いたことない鳥の声が聞こえ、そしたらその鳥たちが畑にやってきて、畑の虫たちをついばんでくれるようになって行きました。
つまり、森を手入れすることによって生態系がガラッと変わって農業にもとても良い影響をもたらすようになりました。森に光が入り新しい循環が始まっていくことを間のあたりにしました。
狩猟するということもまたたくさんのことを考えさせられます。元々看護という仕事をしていたことも、またこうして大切に有機野菜を育てていることに対して、狩猟をするということは何か自分の感情の中に葛藤がないわけではありません。しかし
こうしたことは正しいか正しくないかの議論ではなく、このアンビバレンスさを引き受けること自体に意味があると思っています。
まさに命の考え方、循環について考えることも答えはなくて、
でも私が常日頃思うことは、もっともっとみんな葛藤した方がいいなって思うんですよね。
様々なことが分業され過ぎてしまっていることによりそれがとても見えづらくなっていて、立ち止まる場面がなさ過ぎてしまうのが現代だと思っているのですが、だからこそ私はこうした機会を作りながら若い世代に繋いでいきたいと思っています。
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