助けを必要としている、どうぶつ達のために
緑の森どうぶつ病院を開業してまもないある日のこと、外来時間中に院長の姿が急に病院から消えたことがありました。
しばらくすると何事もなかったように戻ってきて、そして院長はにこにこと、どうぶつたちの診察をいつものように続けるだけでなにも語ってくれません。
そんなちょっと不思議なことがあってから数日後のこと。10人ほどの小学生たちが院長あてに手紙が届きました。
「先生、鳥のひなを助けてくれてありがとう」1年生から6年生まで、いろんな学年のこどもたちが、精一杯の感謝の言葉をつづってくれた手紙でした。
そうです。院長は、こどもたちが公衆電話からかけてきたSOSの連絡を受けて、巣から落ちてしまった鳥のひなを助けるべく病院を抜け出したのでした。
助けるといっても、木に登ってひなを巣に戻しただけだったようですが・・・。その手紙のなかにこんなメッセージがありました。
「ぼくは、本当は先生は来ないと思っていた。でも、先生は来た。びっくりした。ぼくはそんな大人に会ったことがない。先生ありがとう。ぼくは、これから絶対に動物を大切にします。先生ありがとう!」
この男の子の言葉に、私たち緑の森のスタッフたちは胸を突かれました。
私たちは動物病院ですから、一番の使命は緑の森どうぶつ病院を選んで、足を運んで下さるオーナー様とどうぶつたちが健やかな日々を過ごせるようにお手伝いをすることです。
ですが、どうぶつ病院は病院を訪れてくれるどうぶつたちの命だけを助ければよいのでしょうか。
この旭川の地に、日本各地に、世界に、だれかの助けを必要としているどうぶつたちがいるのだとしたら、そのどうぶつたちにも「やさしい手」を差し伸べることが、私たちが目指している「どうぶつ病院」なのだと思い知りました。
鳥のひなを助けたいと思った小学生のように、どうぶつを愛おしいと思う気持ち、どうぶつたちの命を大切にしたいと思う気持ちをお預かりするということは、人とどうぶつをつなぐということ。
私たちはこの気持ちを忘れずに様々な活動に取り組んでいます。
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