2023.05 .02

North Plain Farm ノースプレインファーム 

North Plain Farm ノースプレインファーム 

緑の森どうぶつ病院「てとて、ぺっとのごはん」 ✖️  「North Plain Farm」

有機生乳チーズのフリーズドライ

「てとて、ぺっとのごはん」商品に新たに仲間入りした“チーズのフリーズドライ”は、
ノースプレインファームの食用の乳製品製造過程で生まれる「 副 産 物 」を 活 用 し 、作られています。

チーズのフリーズドライを販売するにあたり、ノースプレインファームさんでは、何度も試作を繰り返し取り組んでくださいました。
こだわり、ものづくりに想いを込めてくださる姿勢の背景には、牛さん1匹1匹を大切にしている酪農経営がありました。

今回、ノースプレインファームの見学を通して教えていただいた、様々な取り組みを紹介します。

ミルクホールにて昼食

ミルクホールの人気メニュー“チーズハンバーグ”

予定していた時間より早く着いたので、牧場の横に併設している、ノースプレインファームさんのカフェで昼食を取りました。
“チーズハンバーグ”を注文!
口の中でチーズが広がり鼻から抜けていく美味しさに感動!!

食後に出た、“おこっぺ有機ヨーグルト”は、人生で食べたことのないヨーグルトの感触でした。驚きのあまり同席したスタッフも感激し家族にも、と購入していました。
カフェで出た乳製品は、全てやさしく、心が温まる味でした。

必ずまた伺いたいです!!!

放牧地と採草地

牛舎から離れた採草地

放牧地はあまり更新せず、採草地は更新をすることがあります。
採草地とは牧草畑のことで、作物として牧草を栽培しています。野菜や穀物と同じように土を耕したり、除草や施肥などの管理をしています。
放牧地は牛が歩き、糞や尿をすることで、土や草に同様の影響を及ぼすため、※追播はしても更新はしていません。

畑には牧草だけでなく様々な種が飛んできて、多様な草が生えます。もちろん雑草も生えます。牧草とその他の植物では栄養価が違うので、雑草を食べると乳量や乳質が変化する可能性があるのですが、除草剤を撒くことなく他のところで栄養バランスを補っています。

放牧地は春になると草が伸び始め、雪解け後の鹿の角や木の枝などを拾い、牛さんたちが怪我をしないように元気に走れる環境を整備します。電柵などの準備が整えば放牧開始します。

もちろん放牧は、ずっと行っているわけではなく、天候や気温、牛の体調、草の伸び具合を観察して放したり牛舎で休ませたりしています。

人間の手を加える部分と自然に任せる部分を分けながら独自の酪農経営をしています。

牛さんたちのごはん

①牧草

牛の飼料には主にイネ科マメ科の牧草があります。
その比率は環境や条件によっていろいろあるため、常に一定ではありません。

牛舎のまわりに放牧地、離れたところには採草地があります。採草地は、大きくわけて5カ所、遠いところは20kmくらい離れています。
圃場(放牧地、採草地、デントコーン畑)はすべて有機JAS認証を得ています
以前は粗飼料(牧草(=乾草、グラスサイレージ))はすべて自給だったのですが、有機化で気候等により収量が安定しない時代を経験し、最近は近隣に有機飼料の生産農家が増えたことから、自給にこだわらず質のよいものを購入させていただくこともあります。

なんでも自分たちで頑張るのではなく、助け合いながら取り組むこともこれからのスタイルだと考えています。

②非有機飼料

有機JASの規格基準で、一定の割合で非有機飼料を与えられますが、遺伝子組み換え技術、化学的処理や禁止された添加物は使用できません。
当社では、非遺伝子組み換え(NON-GM)配合飼料、大豆かす、ビートパルプなどを与えることがあります。

③コーンサイレージ

ラップの中でとうきびを細かくし乳酸発酵させています。
デントコーン(飼料用とうもろこし)収穫時に、茎や葉や実を一緒に裁断し、フイルムで巻いて醗酵させます。 とうきびも自社で育てています。

搾乳

午前と午後2回搾乳を行います。牛舎に繋がれた牛を一頭一頭搾乳していると、毎日牛の状態を見ることができ、少しでも違うと、すぐに気づくことができます。

牛は1頭あたりの生産量を増やすために、年々品種改良がされ大きくなっています。そのため牛舎がだんだん牛たちにとって小さくなってきているので、これから牛舎も新しくしていくことも検討しています。

牛を繋ぐことに関して、福祉的な側面から議題になることはありますが、繋がれているだけで悪だという意見には賛同できません。フリーストール、フリーバーンのメリットもありますので、牛たちをどのように育てていくかは多様な方面からこれからも考えなくてはいけません。

与えられた環境でできる最良の方法を実践することを心がけています。

 

振り返り

アニマルライツセンターHPより

一緒に参加した愛玩動物しつけインストラクターのスタッフがまず驚いていたのが、牛たちの表情でした。彼の実家は酪農家で、酪農がとても身近だったそうです。牛たちがリラックスしている姿、そして独自の酪農経営を確立されているノースプレインファームに感激していました。

日本の生乳の約50%以上を占めている北海道の酪農。今日本の酪農業界は大きな課題と向き合っています。それは子牛が低価格で取り引きされ、さらに買い取り手のない子牛もたくさんでてきています。そのため廃業を追いやられている酪農家が増え続けています。

私は北海道に移住し、以前にまして他人事ではないことを実感します。私たちを支えてくれる動物たちの命をどのように見つめていくか、それはただ産業動物として生産性だけにフォーカスしたあり方ではないと感じています。

アニマルウェルフェア(畜産動物の福祉)と一概に言っても、多様な酪農経営があります。

今回、お話いただいたノースプレインファームの吉田さんからも、経済動物でありながら、牛たちと向き合うことはとても気持ち的なことも含め簡単なことではない、とおっしゃっていました。

戦後から続いている酪農の大規模化政策、方針は続き、そこに立ち止まることなく進んできた日本の酪農は、今たくさんの課題の中で分岐点にあります。

先進国と言われ長い時間が経ちましたが、日本の畜産動物福祉は世界からも見ても最低レベルです。
※上記の画像を参照

私たちが買い物をするときに何を意識し、どう生活していくのか、その先に新しいアニマルウェルフェア畜産モデル築かれていきます。

全ては繋がっていて、誰1人関係のない人はいません。
緑の森グループではこれからも、北海道の酪農家の方々と手を取り合い、
畜産動物の福祉の啓蒙活動にも取り組んでまいります。

text by KIRIKO